医療あれこれ
栄養補助食品による認知機能保護効果
超高齢社会の現在、社会的な大問題である認知症の発症を予防する効果があるとされるさまざまな栄養補助食品サプリメントが発売され日本でも入手可能です。米国ノースカロライナ州Wake Forest大学老年内科のBaker L.D.氏らは、脳血管機能を活性化するとされるフラバノール(カカオ抽出物)と、野菜や海藻など天然素材由来で22種類のビタミン・ミネラルを含むマルチビタミン・ミネラル(MVM)、およびこれらの偽薬(プラセボ)を2,200人余りの実験対象者に3年間投与し認知機能保護効果を調べました。評価は電話インタビューで得られた情報を解析し、認知症の学術雑誌であるAlzheimer's Dementia DOI:10.1002/alz.12767 に公表されました。
結果は、カカオ抽出フラバノールは3年間という調査機関では認知機能に影響はなかったのに対して、マルチビタミン・ミネラルは認知機能に有意な利益をもたらすことが判りました。記憶力や実行機能の保持に効果がありました。さらにこの効果は心臓血管疾患の病気がある人に対してより有効だったそうです。
新しく開発された特殊な薬剤ではなく、ビタミン・ミネラルが認知機能保持という効能を示したという点では注目すべき結果と考えられます。しかしどのような機序でこれらの効果が確認されたのかという詳細については、今後のさらなる検討が必要であることはいうまでもありません。