医療あれこれ

減量すると大腸ガンのリスクが低下する

 アメリカにおいて肥満者が増加とともに大腸ガンが増加しているとされ、体重と大腸ガンリスクが示唆されています。しかし現在体重を減らすことによって大腸ガンリスクを低下させる、つまり減量することは大腸ガン予防につながるかどうかを明確に示す調査研究はなされていませんでした。このたびアメリカのメリーランド大学Kathryn Barry氏らはこれについて検討し、肥満者が減量をした場合には大腸ガンのリスクが低下するとの結果報告を明らかにしました。

 解析対象は大腸ガンや大腸ポリープがない55歳~74歳の成人18588人で、年齢や性別、人種、食事や飲酒などの生活習慣、また体重やBMIなどと大腸ガン、大腸ポリープの発生との関連を調査しました。

 その結果、体重が20歳時点に比べて5年間で0.5㎏減少した群では、体重変化がなかった群に比べて大腸ポリープの発生が46%少ない結果でした。しかし同時期に体重が5年間で3㎏以上増加した群では体重変化がなかった群に比べて大腸ポリープの発生が30%多いという結果が明らかとなりました。

 次に20歳時点でBMI25以上、つまり肥満に分類された人のうち、体重が5年間で0.5㎏以上減少した群では体重変化がなかった群に比べて大腸ポリープ発生が61%少ないというより強い関連が認められました。

これに対して20歳時点でBMI25未満だった人では5年間で3㎏以上増加した場合、体重変化がなかった群に比べて大腸ポリープ発生は27%多いという結果でした。

これらの結果から、アメリカがん協会のLauren Teras氏は、「過体重または肥満者では減量することは大腸ガンのリスクを低下させる可能性が示されるものだ」と述べ、大腸ガン対策として大腸ガン検診対象をこれまでの50歳以上を45歳に引き下げられています。