医療あれこれ
睡眠時無呼吸が続くと突然死の原因に
睡眠時無呼吸は、睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が1時間に10回以上みられるものです。喉の気道が狭くなる肥満体質の人に発症する閉塞性睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の変化によって睡眠が障害される中枢性睡眠時無呼吸の二種類に分類されます。睡眠時によくいびきをかくことタイプは閉塞性睡眠時無呼吸です。これに対して中枢性では気道に変化はなく中枢神経の変化により睡眠が停止するものですからいびきはありません。一般にみられる睡眠時無呼吸はほとんどが閉塞性睡眠時無呼吸です。
このたび閉塞性睡眠時無呼吸、つまり一般にみられるタイプのものですが、この特徴を持つ人は突然死や心臓疾患による突然死が普通の人に比べて約2倍のリスクであることが研究データとして紹介されました。これはアメリカのペンシルベニア州立大学の研究者らによるもで、最近の科学雑誌に公表されています。(Heilbrunn E. S. et al: BMJ Open Resp Res.
2021:8:e000656. Doi:10.1136/bmiresp-2020-000656)
これまでに睡眠時無呼吸について公表されている22本の研究論文を抽出し解析したものです。対象者は4万2千人あまりで平均年齢が約62歳、64%が男性でした。その結果、睡眠時無呼吸のない人に比べてある人は突然死のリスクが1.74倍の高率であったそうです。また無呼吸の重症度でみると、軽症ではこのリスクが1.16倍であったものが、中等症では1.72倍、重症になると2.87倍のリスクがあったそうです。
睡眠時無呼吸の人はアメリカにおいても非常に多いと想定されていますが、ほとんどの場合、正確に診断され治療を受けていないといいます。睡眠時無呼吸の治療は持続陽圧呼吸療法(CPAP)といって、治療装置から圧力をかけた空気をエアチューブとマスクから強制的に気道に送り込むことを睡眠中に続けておこなうものです。この治療による効果は、いびきを軽減し睡眠状態をより良好にするものですが、毎晩の操作が煩雑なことからすべての人が確実に持続できていないのが現状です。またこのCPAPにより全死亡、脳卒中、心疾患のリスクを低下させるという治療の有効性を示す根拠が得られていないそうです。
今後、簡便に睡眠時無呼吸をコントロールする治療法の開発が望まれるところです。