医療あれこれ
野菜を多く食べるとコロナ感染重症化が低下
最新の研究から、植物性食品を中心とした食生活の人は新型コロナウイルス感染症に罹患しても重症化するリスクが低いと思われることが報告されました。
(Seidelmann
J et al, BMJ Nutrition Prevention & Health, on-line journal)
研究したのはアメリカのスタンフォード病院の研究チームです。アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、スペインの医療従事者にWeb でアンケートをおこない、過去1年間における食物摂取状況のデータとコロナ感染罹患の有無およびその重症度や罹病期間との関連を解析しました。解析の対象となったのはコロナ罹患者568人、および非罹患者2316人で、年齢、性別、国や民族、運動習慣や喫煙習慣、BMIなどの影響を調整して解析しました。
その結果、食物性食品を中心にした食生活をしている人はそうでない人に比較して、中等症~重症のコロナ感染症がある人の割合が73%少ないことがわかりました。また食物性食品のほか魚は食べる人を加えて解析しても、中等症以上のコロナ感染は少なかったのです。ただし食習慣とコロナ罹患率、罹患した期間などには有意な関係はありませんでした。
食物性食品中心の食事というのは、野菜、豆、ナッツが多く、赤肉などは少ない食事ということで、人の免疫系に重要なポリフェノールやカロチン、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれているもので、感染症の重症化予防には重要とされています。また魚に含まれるビタミンDなどは抗炎症作用があり、これらが評価結果に関連していると思われます。
しかし今回の検討では個々の栄養素とコロナ感染重症度を解析したものではありません。研究者らも考察していますが、ただ質の高い食事内容を摂取しているような人は、それだけではなく規則正しい生活習慣があり、健康には常日頃気をつけているからではないかと推察されます。個々のことより一般的な感染予防や健康志向が今の世の中には重要なのだということかも知れません。