医療あれこれ
朝食は早朝に食べる方がよい?
朝食は同じ食事内容でも食べる時間によって血糖値の上がり方が異なるのかどうかを調査研究した論文が公開されています。報告したのはアメリカのノースウェスタン大学医学部のKristen Knutson氏らで、アメリカの国民健康栄養調査に参加した成人1万575人を対象とした調査で、本年3月のアメリカ内分泌学会に報告されました。
(Eating before 8:30 a.m. could reduce
risk factors for type 2 diabetes)
対象者が朝食を食べる時刻によって、午前8時30分までに朝食を済ませる人と8時30分以後に食べている人の2群に分けました。さらに一日のうち初めの食事をしてから最後の食事をするまでの時間帯を10時間未満、10~13時間および13時間以上の3群に分けました。そしてそれぞれの群間で血糖値やインスリン抵抗性つまりインスリンの効き方を比較検討したのです。
その結果、午前8時30分までに朝食をとる群は、8時30分以降の群よりも血糖値やインスリン抵抗性が低いことが判りました。また食事の時間帯については10時間未満、10~13時間、13時間いずれの群でも有意の差はありませんでした。
これらのことより、朝食を早めに食べた方が糖尿病の発症リスクが低いこと、また食事の時間帯の影響はあまりないことが明らかとなりました。Knutson氏は「朝食を早めに食べた方が糖尿病の予防、健康的にはよいようだ。」と述べています。
この原因としては、先行研究で、早朝は糖代謝が良好で、一日のうちの時間が経過するにつれて糖代謝が低下することが知られており、食事療法でカロリー制限をする時、食事摂取をする時間をできるだけ早めに設定するほうがより効果的と考えられます。一方で、多くの人は夕食を抜きたいとは思わないだろうから、時間制限食を続けることは難しいという意見があります。またこの研究では食事内容の差などは考慮されておらず、今後の課題もあるようです。