医療あれこれ
ガムをかんで歩くと運動効率があがる
ウォーキングは適度の運動が手軽におこなえるものとして、私たちも推奨しているところです。このときガムをかみながら歩くと、より運動効率が上がりエネルギー消費が高まるのではないかという研究報告が早稲田大学スポーツ科学学術院の研究グループから報告がありました。(Hamada et al. The effects of gum chewing
while walking on physical and physiological functions. J Phys Ther Sci. 2018
Apr; 30 (4): 625-629.)
ガムをかむという運動は、交感神経の活動性を高め、心臓の拍動数やエネルギー消費量を増加させることが以前より注目されています。一方、ランニングなど息が切れるほどではなく、少し速足で毎日歩くといった適度の運動を続けることは健康維持に重要であることもよく知られた事実です。そこで今回、早稲田大学の宮下政司氏、濱田有香氏らは、これらガムをかむという行動とウォーキングを同時におこなえばより運動効率があがるのではないかということに着目して研究しその成果を報告したのです。
研究対象は各年齢の男女46人で、1時間安静にしてもらった後、ガムをかみながら15分間ウォーキングしてもらい、心拍数、歩行距離、歩行のペース(時間当たりの歩数)を計測。これらから歩行速度、歩数、歩幅、エネルギー消費量を算出しました。この運動の対象として、ガムと同じ成分の粉末を服用して何もかまないで15分間あるいてもらったときの結果と比較検討しました。
その結果、男女ともウォーキング中の心拍数はガムをかんだ方が、かまなかった時より3%増加しました。さらに40歳以上の男性でガムをかみながらのウォーキングは、歩行距離、歩行速度、歩数、さらにエネルギー消費量が統計学的に有意に増加したそうです。
著者らは、ウォーキング中にガムをかむと健康増進や体力づくりに効果的ではないかと述べています。特に若年者に比べて高齢者では何もしないでウォーキングだけしていると歩行ペースが落ちたりして、本来の運動効果が得られないことも想定されますので、こうしたガムをかむといったことが運動効率をあげるのによい方法ではないかと期待されます。
国際医学短信2018年6月13日