医療あれこれ

100年前から肥満のなやみがあった

 近年、体重オーバー、メタボ、肥満といったことで困っている人が多く存在します。飽食の時代で食べるものはカロリーが高く、多忙その他の原因での運動不足が深刻な問題となっています。これは現代だからというのではなく、アメリカでは約100年前から肥満で悩んでいる人がいたことを示す報道がありました。

 これは"The Chattanooga News"というアメリカのテネシー州南東部のシャタヌーガという街で発行されていた日刊紙の192049日版の健康相談の欄に掲載されていたものです。1920年というと日本では大正9年で、この年の1月に大日本帝国は戦前まで存在した国際連盟へ正式に参加した年ですが、第一次世界大戦の終了後の恐慌にあった年でもあります。アメリカではアルコール乱用者が社会問題となり禁酒法が施行された年です。

 さてその日刊紙の健康相談欄では「肥満の原因と、それは危険な状態であるかどうかを教えて欲しい」という意味の質問がありました。それに対する回答として肥満の原因は、食べ過ぎの他、主に「1種類のものだけを食べる」、また「体内で食品の異常な変化によりおこる」と解説されています。さらに遺伝、運動不足、また飲酒によっておこりやすくなるとあります。そして肥満の危険というのは、肥満が病気の抵抗性を下げるとしています。それは脂肪は心臓周辺に蓄積する傾向にあることから、その器官を弱くし、運動後の動悸や息切れから、身体全般の機能障害をおこすというのです。また一方では減量目的で市販薬を服用するのは大変危険だから、かかりつけ医に相談するのがよいと付け加えられています。

 肥満が現在も100年前も健康障害の原因となるということは変わらない事実だと思いますが、「体内で食品の異常な変化がおこる」という現代では想定しにくいような理論が述べられているのは興味深いことです。また当時から肥満に効く市販薬が販売されていたのでしょうか。いずれにしろ「太りすぎに注意」は今も変わらない健康上、注意すべきことです。

 

引用:株式会社翻訳センター 遠藤 朋子M3.com2016711日付 QOL

文献:THE CHATTANOOGA NEWS 1920.4.9

http://chroniclingamerica.loc.gov/lccn/sn85038531/1920-04-09/ed-1/seq-8.pdf