医療あれこれ
医療の歴史(35) 古代日本の医療
これまでこの「医療の歴史」では欧米を中心とした西洋医学の発展をみてきました。概略のみでしたが、一応、現代医学までたどりついたところで、今回から趣向を変えて日本における医療の歴史をたどって行きたいと思います。
医療の歴史(1)でも述べたように、人間が生活しているところには常に病気やケガがつきもので、これを何とか治して傷病者を楽にしてあげたいと考えるのは世の東西を問わず考えられるところです。日本において、少なくとも何らかの記録に残る医療史の最古のものは、「古事記」「日本書紀」に残る神話の時代のことです。
古代国家の首長は、宗教あるいは呪術的な能力を持って国を治めていましたが、その国で発生する疫病にどのように対応するのかが重要な役割の一つであったと考えられます。例えば、出雲の国造り
この神話にあるように、首長に求められる能力は、傷病に対してどのように対応するかというものだったようです。