医療あれこれ

一日一食では胆石になりやすい

 最近、「空腹が人を健康にする」ということで、一日一食を推奨することが流行しているようです。しかしこれが本当に健康にとって良いことなのでしょうか。

 昔(明治時代より以前)は一日の人の活動は、夜明けとともに始まり夜になると終わるという短時間のものでしたから、一日に三食ご飯を食べなくても十分に栄養を補給することができたでしょう。また、大昔、原始時代は、一日一回何らかの物を食べることしかできなかったかも知れません。しかし、それが本当に人が健康な生活をすることにつながっていたのでしょうか。少し疑問が残ります。

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 空腹な状態が長時間続くと胆石症になりやすいと言われています。肝臓は脂肪の吸収に必要な胆汁という消化液を作っています。これを小腸に流し出すための管である胆管や、その途中に食べたものが小腸にはいってくるまで胆汁をためておく胆のうという袋の中に、コレステロールやビリルビンなどの成分が固まって結石を作った病気が胆石症です(右の図)。特によく知られているのは胆のう内結石で、これは胆汁が長時間胆のう内に貯留していることが発症の要因とされています。すると、もし一日一食という食生活で、空腹の時間が長く、食べた物が小腸に入ってくる回数が減ると、胆のう内に結石ができる可能性が高くなることが考えられます。病気で口からものを食べることができない人が、点滴で栄養を補給されている時間が長くなると胆石ができやすいことが知られています。

 これらのことから、空腹が人を健康にするという論理は必ずしも全て受け入れることができるものではないかも知れません

(参考文献 日本医事新報 No.4626 2012.12.22)