医療あれこれ
欧州のサッカーはアジアの交通事故に影響する
欧州で開催されるサッカーの試合が、遠く離れたアジアで発生する交通事故発生に影響するという研究結果が公表されています。
(Yam KC. et al. BMJ 2020, Dec 16, m4465 DOI: 10.1136/bmj.m4465)
欧州クラブでサッカーの試合は調査した7年間で12,788回開催されていましたが、この期間中にシンガポールにおいては最大のタクシー会社の交通事故記録によると41,538件のタクシーが絡む交通事故が、一方、台湾におけるすべての交通事故件数は1,814,320件発生したそうです。これらの記録を基礎として、注目度の高いサッカー試合があった日となかった日の交通事故記録の相関性を統計学的に調査されました。
その結果、サッカー試合の平均市場価値が約1億3474万ユーロ増加すると、シンガポールでタクシーの交通事故が約1件増え、平均市場価値が約799万ユーロ増加すると、台湾ですべての交通事故が約1件増えることがわかったそうです。つまり注目度が高い欧州のサッカーがあった日ほど、シンガポールや台湾における交通事故発生が増加するというのです。またこれらの関連は、気象条件や時期、週末か平日か、あるいは運転手の特性、時間傾向を調整して比較しても同じ傾向が認められました。
この現象がおこるのは、欧州で注目度の高いサッカーの試合がおこなわれる時間帯は、アジアでそれをリアルタイムにテレビで観戦するには深夜や早朝となり、アジアの運転手が睡眠不足になることが原因だと著者らは述べています。
結論はごく単純なものですが、これが世界規模(?)で調査されたということは興味深いですね。それにしても、やはり睡眠不足は日常動作に大きな影響を及ぼすことであり、注意したいものです。