医療あれこれ
もしサンタがコロナの感染者だったら
12月24日クリスマスイブの夜、最も忙しい人はサンタクロースですね。何しろたった一人でトナカイがひくそりに乗って世界中の子供たちにプレゼントを届けなくではならないのですから。
でももしサンタさんがウイルス感染症にかかっていたら、いったいどれだけの子供たちが感染症にかかってしまうのでしょうか。昨年末のことですがそんなことを数理モデルを使って解析した論文が公表されています。
(Yuki Furuse;What
would happen if Santa Claus was sick? Medical Journal of Australia17 November
2019 https://doi.org/10.5694/mja2.50420)
昨年末は新型コロナウイルス感染がまだ問題にはなっていませんでしたから、この論文でモデルとして対象とされた感染症は麻疹とインフルエンザとして統計処理されました。そして2016年の先行論文において世界中でサンタのプレゼントを受け取ることができるのは全体で90%の子供たちだということが判っていたので、この子供たちがサンタに接触したとしたら、つまり濃厚接触者になったとしたら流行規模はどうなってしまうのかが予測されたのです。その結果、インフルエンザの場合、流行規模が12%増大すると予測されました。これに対して麻疹では、サンタとの濃厚接触により流行規模は100%の確率で大規模な流行がおこると推定されたのです。一方で、子供たちのワクチン接種率が95%のときには、どのようなパターンの解析をおこなってもサンタクロースによって大規模な流行が起こることはなかったということです。新型コロナウイルス感染症と麻疹、インフルエンザはウイルスが原因という事は同じですが、ウイルスの性格も異なりますし同じと考えることはできません。しかし新型コロナでも可能なら予防接種を受けることが必要ということですね。新型コロナのワクチン接種は現在、アメリカやイギリスですでに始まっており、日本でも認可される見通しですが、大きな問題なく接種がすすめられることを願うばかりです。
またサンタクロースが子供たちが待つ家に到着した時も検温をすませ、煙突からの入り口にはスプレー式の消毒薬を設置したいところです。また多くの家庭ではお父さんがサンタクロースの代わりにプレゼントを持ってくることも多いでしょうから、家庭内感染には十分気をつけましょう。