医療あれこれ

日本のワクチンへの信頼度は最低レベル

 新型コロナウイルス感染に対するワクチンが開発され、近く接種が始まるそうです。しかし報道をみていると、どれだけの効果があるのか?とか副作用、合併症は大丈夫か?などのコメントが多く聞かれます。このことで思い出すのは、少し前に発表されたイギリスの一流医学雑誌ランセットが公表したロンドン大学の研究結果です。「ワクチンに対する人々の信頼度は世界中で日本が最低レベルにある」という内容です。ここでいうワクチンはコロナに限ったことではなく一般的な予防接種ということのようですが。

 149の国と地域で5年間にわたって28万人を対象にしてアンケートがおこなわれ、ワクチンは①安全だと思うか、②有効だと思うか、③子供に重要だと思うか、という質問に対する回答を分析したのでした。その結果、質問①に対して強くそう思うという回答は8.29%、②に対しては14.71%でワースト3位。③に対して「強くそう思った」人の割合は41.76%でワースト12位だったそうです。結論として、日本はワクチンに対する信頼度が世界で最も低い国の一つである、というものでした。

 実際、日本においてワクチン接種があまり信頼されていないということを明らかに示したニュースとして、「子宮頸がんワクチン」の騒動が思い浮かびます。この一連の騒動は以下のようなことでした。

・子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が開発され、2009年日本でも認可されました。

・厚生労働省は定期予防接種に指定し、しばらくは普通に予防接種が進められました。  これで子宮頸がんは撲滅されると信じて...。

・しばらくして、接種時の強い痛みから、体の不調を訴える女の子がいることが報じられました。

2013年、「子宮頸がんワクチンで中学生が重い副反応」という新聞報道があり、被害者団体が設立されました。

・厚生労働省はこのワクチン接種を積極的に推奨しないというわけのわからない対応をしました。

・それまで70%以上あった接種率が1%以下になってしまいました。

・調査研究の結果、科学的に検討を重ねてもこのワクチンと副作用とされる症状に因果関係は照明されませんでした。

・世界保健機関(WHO)は安全で効果的なワクチン使用を妨げていると日本を名指しで批判しました。

2016年、子宮頸がんワクチン副作用調査研究班は「ワクチン接種後には明らかに脳に障害が起こっている」とテレビで発表しました。

・しかし別のジャーナリストから、この研究班の結果には捏造があると告発がありました。

2017年このジャーナリストは世界三大科学雑誌ネイチャーから表彰されました。

・これら一連の事実は被害者団体へ忖度したメディアからは一切報道されませんでした。

・ワクチンの有効性は学校接種に導入したオーストラリアでHPV感染率は22.7%から1.1%に激減し、子宮頸がんが完全に撲滅されることも現実に見えてきたのです。

 この騒動は、適切でなかったメディアの報道体制が原因で、それを信じ込んだ人々が引き起こしたものと考えられますが、日本人の国民性も関与していると思われます。副作用が100%ない薬はありません。それを気にするあまりワクチンによるコロナ撲滅の機会が日本で妨げられるようなことはないことを願うばかりです。