医療あれこれ
肥満の人は新型コロナ感染で重症化しやすい?
新型コロナウイルス感染症対策については、非常事態宣言が解除され人々は感染拡大前の日常生活を取り戻し、低下した経済状況の活性化に向かい諸政策が実施されようとしているところです。一方で、東京ではいわゆる夜の街関連の集団感染が再び増加傾向にあり、東京アラートなる注意喚起がなされております。(またまたアラートなどとカタカナ語というのも気になりますが、それはともかくとして・・・)
世界的にみると中国の研究では、高齢、心疾患、高血圧、糖尿病などがコロナ感染症重症化の危険因子として挙げられています。一方で、米国、イギリス、メキシコなど肥満の人が多い国では新型コロナ流行が拡大していることから、肥満と新型コロナ感染症の重症化との関連を調べることが必要というので、フランスの研究者らは論文を公開しています。(Lancet Diabetes Endocrinol. 2020. March 18. On line : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32437642/)
その結果の概要は、フランス人全体での肥満(BMIが30以上)の割合は15%だったのに対して、新型コロナ入院患者のうち肥満の人は25%と高率でした。特に新型コロナ感染症が重症化して集中治療室(ICU)へ入院した人は一般に比べて肥満率が2.16倍高く、年齢や性差あるいは高血圧や糖尿病などの合併といった要因を除外しても肥満の新型コロナ感染者における肥満率は統計的にみて有意に高いことがわかりました。
入院後の経過や予後とどのような関連があるのか、あるいはアルコール摂取による脂肪肝などの影響はどうか、社会生活、経済的要因はどうなのかなどは今回検討されていないので更なる調査が必要であるとは考えられます。しかし日本、ことに東京で夜の街にご注意とあるように、生活習慣の乱れには十分気を付ける必要があるのかも知れません。