医療あれこれ
「ゲーム障害」という現代病
携帯用のゲーム機器やスマートフォン(スマホ)、タブレットなどの連続した使用による体の不調が問題になっていますが、世界保健機関(WHO)では、今年5月に国際疾患分類に「ゲーム障害」という疾患名を追加しました。また本日(6月10日)のテレビでも紹介されていましたが、アメリカのインターネット業者から、スマホを持たずに1週間過ごせた人には1000ドル(日本円で約10万8000円)の報酬を差し上げますというキャンペーンがあるそうです。問題となる体調不良はスマホなどの端末機器の使いすぎが原因で心身の不調をきたすという今の生活に直結した現代病といえるでしょう。
医師向けのネットページで、内科の他、眼科、精神科、整形外科などを対象にしたアンケートが今年のゴールデンウィークに実施されました。そのなかで、スマホやタブレットなどの携帯端末が原因と考えられる心身の不調を訴える人について診察したことがあるかという質問に対して「ある」という回答があったのは全体の28%でした。実際に診察したことのある疾患をたずねると、内科系疾患(頭痛、不眠など)が最も多く34.4%、次いで整形外科系疾患(ストレートネック、腱鞘炎、肩こりなど)が28.8%、さらに眼科系疾患(斜視、ドライアイ、眼瞼痙攣など)が16.1%、精神系疾患(依存症、SNS疲れなど)が16.1%となっていました。
疾患別に年齢層を尋ねたところ、頭痛や不眠といった内科系疾患は20~59歳代の患者が6割を占めますが、15~19歳が19%、10~14歳が13%、6~9歳が1%、5歳以下が2%と、若年層も3割を占めることが分かりました。
整形外科疾患でも同様で、患者年齢層としては20~59歳が64%を占め最も多かったのですが、10~14歳が15%、15~19歳が14%と、小学校高学年から中学高校生世代でもみられました。回答の中には、5歳未満のばね指や、小児の肩こりなど成人における職業病のような訴えを診察したというものもあったといいます。
年齢層で特徴的だったのは精神科疾患で、15-19歳が35%、10-14歳の患者が28%と、小学校高学年から高校生までの世代が全体の6割を超え、若年者のスマホ依存が深刻な状況が判りました。9歳以下の児の診療を経験したという回答も計8%あったといいます。夜中にスマホがやめられず寝不足になり、朝起きられなくなったため不登校になったり、ソーシャル・ネットワーク(SNS)で嫌な書き込みをされていると思い込む妄想などで、社会生活に重大な支障が出ている場合がみられたそうです。
いま電車の中で、居眠りしている人以外ではほとんどの人がスマホを触っています。事態は深刻で、冗談ではなくアメリカのように報奨金を出してでもスマホ依存を解決する対策が必要ではないかとまで思ってしまいます。
引用:M3.com 臨床ダイジェスト「スマホ関連病」