医療あれこれ

20秒間片足立ちができますか?
2015年2月 1日
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 脳血管疾患のなかには、CTスキャンなどの検査で小さい脳梗塞(ラクナ梗塞)があったとしても症状が現れない無症候性脳血管病変があります。またこれらは認知症と関連することが知られています。

この度、目を開けたまま片足立ちで20秒間保持できるかどうかによって、これらの病変の可能性と関連することが京都大学ゲノム医学センターと愛媛大学老年神経総合心療内科の共同研究により明らかにされました。

 研究対象者は平均年齢が67歳の男性546名、女性841名で、開眼片足立ち保持時間を最長60秒まで測定しました。結果は1030名の人が最長の60秒に達し、89名が60秒未満、120名が40秒未満、148名が20秒未満でした。ラクナ梗塞の数は片足立ち20秒未満の人で統計学的に有意に多いことが判りました。また同じく20秒未満の人は認知機能が有意に低下しているという結果だったそうです。 

 一見健康そうに見える人でも姿勢の安定性は脳の早期病変や認知機能低下を予測する因子であることが明らかになったということです。姿勢の不安定性は高齢者の総合的な健康状態の尺度としてとらえ、いっそうの注意を払っていく必要があります。以前に本項で、高齢者における全体的な機能低下をあらわす「フレイルティ」という言葉をご紹介しましたが、片足立ち時間の低下は、単にバランス能力の衰えを示すのではなく、潜在的な脳血管病変の存在をしめすものであることが興味深い点だと思います。

引用文献 Tabara Y et al.  Stroke. 2015;46:16-22




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