食品中の脂肪は糖尿病発症と重要な関係があることが知られています。これまでの研究では、動物性脂肪に比べて植物性脂肪を摂取する方が糖尿病予防に有用であることが示されています。一方、乳製品については、摂取量が多いほど糖尿病発症に対して予防的に働くことが疫学研究で判っていますが、乳製品の脂肪含有量との関係は明らかではありませんでした。
この度スウェーデンの研究者らがこの関係を調査研究し、9月15~19日ウィーンで開かれた欧州糖尿病学会で報告しています。約2万7千人の人を対象として、14年間追跡調査し、乳製品に含まれる脂肪の多少により糖尿病発症が影響するかどうかをみたものです。
14年間の追跡期間中に2,860人の人が糖尿病を発症しましたが、高脂肪乳製品を摂取していた人は、糖尿病発症が統計学的に有意な低率であったそうです。乳製品別にみると、生クリームの摂取量が多いほど糖尿病発症リスクが15%低いことが示されました。一方、精肉や加工肉から脂肪を多量摂取すると、逆に糖尿病発症リスクが上昇するという結果でした。
これらのことから、乳脂肪の摂取が糖尿病予防に少なくとも部分的には関与している可能性が示唆されることになります。しかし、「やみくもに高脂肪乳製品を増やすことは勧められない。糖尿病発症だけでなく、心臓血管疾患の発症リスクなども考慮すべきである」と発表者は述べてといます。