たとえ病気にかかることがなくても、人間の寿命には限りがあり、115歳ぐらいが最長と考えられています。しかしその中でも、生活習慣を改善し老化を抑制することにより、健康な生活を長く維持することができればこれほど望ましいことはありません。このためさまざまな抗老化療法が考案されていますが、そのうち最も安全で簡便な方法は食事でカロリーを制限することと、適度の運動を続けることです。
カロリー制限は老化を遅らせて平均寿命を延ばすことが報告されており、運動を続けると健康寿命を延長させるとされています。カロリー制限は、老化を促進する要因を最小限に抑制し寿命延長効果の本質であることが明らかにされていますし、適度の運動を続けることは健康生活を維持するのに有効であることは言うまでもありません。
またアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患に対してカロリー制限はその発症を抑制する効果があることが動物実験で確認されています。近い将来、カロリー制限療法がこれらの難治性疾患の予防・治療法として有効であることを確立することを目的として研究が進められています。
しかし、長期間にわたって極端なカロリー制限を続けると、栄養素のバランスを維持することが困難となって、逆に健康障害のリスクになる可能性も考えられます。栄養のバランスがとれ、しかも理想的なカロリー制限をおこなうことが必要となるでしょう。
引用:入谷敦、森本茂人:日本医事新報4706、2014.7.5、P57