日本における主要死因別死亡率は頻度の高い順に、① 悪性新生物(ガンなど)、② 心疾患、③ 肺炎、 ④ 脳血管疾患(脳卒中)⑤ 老衰 となっています。米国でも上位はほぼ同じような傾向で、① ガン、 ② 心疾患、 ③ 不慮の事故、 ④ 慢性下気道疾患(肺炎など)、 ⑤ 脳卒中 の順とされていますが、この度、これら5つの主要死因のうち2~4割は予防が可能であるとの分析結果が報告されました(W. Yoonら;MMWR、2014年5月2日号)。
これは米国各州の2008年~2010年の80歳未満の死因を集計した5大死因で、米国全体で年間約90万人がこれらの疾患により死亡しています。日本の死因順と異なるのは、統計の対象が日本では全年齢分布における統計結果であるのに対して、米国の報告は年齢が80歳未満となっており高齢者の一部が分析対象から除外されていることが原因ではないかと思います。ご存知の通り日本でも、小児などでは不慮の事故が、また比較的若年者では自殺などといった死因が上位を占めていることから米国と日本で同じ年齢層を対象として集計するとほぼ同様の結果になるのではないかと想像されます。
今回の報告では分析の結果、ガンのうち21%、心疾患の34%、不慮の事故の39%、慢性下気道疾患の39%、脳卒中の33%が予防可能であると算出されました。死亡原因の予防とは死亡に至る状態を阻止することですから、疾患の発生自体を抑制できるというものだけではなく、その疾患により死亡してしまうことが予防できるものと単純に考えることはできません。疾患が発生しても早期発見して治療をおこなえば死に至ることを抑制できるという部分が含まれているものと思われます。Yoon氏らも、「その原因疾患による死亡を予防することができても、別の原因によって死亡する可能性もあるため、単純に予防可能な死亡数とすることはできない」と付け加えているそうです。
引用: Medical Tribune (2014年5月29日)