このほど日本高血圧学会は5年ぶりに、高血圧の治療目標を改訂した「高血圧治療ガイドライン2014」を発刊しました。これまでは最大血圧(上の血圧)が140mmHg以上、最小血圧(下の血圧)が90mmHg以上を高血圧とし、薬剤などによる治療の目標は、130/85未満にするというものでしたが、これでは130~140の間にある人はどうしたらいいか説明しにくい部分もありました。そこで今回の改訂では、不明確な部分をさけるため、血圧を下げる目標は140/90未満にすると改められました。
75歳以上の後期高齢者では、血管が硬くなり、もともとの血圧が高くなっているだろうなどの配慮から、150/90未満が目標。逆に、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)の人は、高血圧が病態を悪化させるので、これらの病気がない人より厳密に、130/80未満にするとされています。
また、これまでも血圧の管理は、医療施設で血圧の測定をするだけでは不十分で、ふだんの血圧を把握することが大切ですから、家庭での血圧測定が重要であるとされていました。これについても、今回のガイドラインでは、可能なら朝夕2回血圧を測定すること、またそれぞれ2回ずつ測定して平均をとることが推奨されています。
これら降圧目標の変更について、日本高血圧学会の島本和明先生は、「降圧目標を130/85から140/90に変更したのは、決して治療目標の緩和ではなく、あくまで高血圧治療開始基準と治療目標のギャップを整理したためだ」と説明しています。