米飯を食べてから野菜をたべる場合に比べ、先に野菜を食べる方が食後の血糖値上昇が抑制されることが知られています。これは野菜の食物繊維が炭水化物(糖分)の分解と吸収を遅らせることにより、食後の血糖値上昇を抑制することによるものです。膵臓から分泌され血糖値をコントロールするインスリンは、血糖値の急激な上昇があると多量に分泌されますが、食後の血糖値上昇が緩やかであれば、このインスリン分泌を節約できることになるのです。この効果は糖尿病の人も、糖尿病ではない健康な人も同様に認められることから、糖尿病の予防効果につながる食事療法と考えられます。さらに血糖コントロールだけでなく、体重の増加を抑制したり、血圧や中性脂肪に対しても改善効果があることからメタボリックシンドロームに関連した一連の病態予防になると思います。
具体的には、食事はまず野菜、きのこ類、海藻などを5分ぐらいかけてゆっくり食べ、それに続いて肉、魚介類、豆類などを含むおかずを食べます。10分ほどたってから最後に穀類、じゃがいも、かぼちゃなどの炭水化物を食べるのが理想的と言われています。糖尿病の食事療法で栄養のバランスやカロリー制限などが重要ですが、このようにできれば食べる物の順番を考えながら食事することも重要です。厳密に順番を決めてその通り実行することはなかなか難しいですが、「まず野菜を」ということを考えておくことが大切と思われます。