医療あれこれ

睡眠時間と成長ホルモン
2014年2月14日

 成長ホルモンは、頭蓋骨の中で大脳の下にぶら下がっている下垂体というホルモン産生臓器の前葉から分泌されるホルモンです。その名のとおり骨や筋肉の成長・発達に重要で、子供のころから成長ホルモン分泌量が多い場合、高身長となり、逆に少ない場合、身長が低くなります。それ以外に脳の発達や記憶などにも関係するとされています。従って、小児期から思春期には体を成長させ脳を発達させるために適切な成長ホルモン分泌はぜひ必要なことですが、一方、歳をかさねてきても、脳や記憶に重要な作用を持つことから、できればその分泌を確保することがよいと考えられます。

 成長ホルモンの分泌は、睡眠中に多くみられることが判っています。睡眠後、まもなく突発的に成長ホルモン分泌がおこることが知られ、男性では一日の成長ホルモン分泌量のうち6割から7割が、女性では5割弱が睡眠中に分泌されます。しかし、年齢とともにその分泌量は低下し、男性では30歳代から減少が始まり50歳代にはほぼ消失する、また女性では生理が終わった閉経後に減少してくるとされています。

 抗加齢という意味から、できるだけ十分な良い睡眠をすることが成長ホルモン分泌を少しでも維持するとも考えられます。また成長ホルモンの分泌を促進する「成長ホルモン放出因子(ホルモン)」をお薬として投与することにより、睡眠・覚醒のリズムが改善し、その結果、生活の質が改善する可能性が考えられ、現在その研究が進められているところです。

 

引用: 鈴木圭輔、平田幸一;日本医事新報、No.46842014.2.1




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