これまでこの「医療あれこれ」でも紹介してきたように、わが国の糖尿病症例数は増加の一途をたどっていました。しかしグラフで示したように、厚生労働省が2013年12月に発表した「2012年国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人(有病者)」は950万人で増加していますが、「糖尿病の可能性が否定できない人(予備群)」は1,100万人で1997年以降初めて減少に転じたそうです。そこで「有病者と予備群を合わせた数」をみると、やはり減少傾向が認められます。
この原因として、日本全体での健康意識の向上や、2008年から始まった「特定健康調査・特定保健指導」など糖尿病対策の効果が表れだした結果であるとも考えられます。これまで予備群に含まれていた人が糖尿病になってしまったことで有病者の数は増加していますが、予備群が減少に転じたことにより、近い将来、この効果はさらに明らかになっていく可能性があります。
その一方で、有病者のうち3割以上(男性の33.8%、女性の34.7%)は現在、糖尿病の治療を受けていないことも明らかになりました。糖尿病になってしまっても、十分な治療をおこない、脳梗塞や心筋梗塞、あるいは慢性腎臓病の発症を予防することが大切です。日本糖尿病学会理事長の門脇 孝先生によると、「2013年は糖尿病治療が本格的に進む年になるものと期待している」とのことです。
引用:Medical Tribune 2014.1.23 Vol.47, No.4