猛暑日が続いています。「熱中症に十分気をつけて」ということはテレビ、新聞等で連日報道されご存知でない方はいらっしゃらないと思います。ところで熱中症になったのは何をしていた時か?というと屋外でスポーツをしていた時や、労働をしていた時に比べて日常生活をしていた時の方が多いというデータがあります。とくに屋内生活が主体の高齢者では、身体が熱に鈍感となり発汗などの体温調節機能が低下していることも想定され注意が必要です。家の中でもエアコンなどで適度に温度を調節し水分補給を十分に行うことが重要です。運動時に発症した熱中症に比べて日常生活中に発症した熱中症のほうが、救急車で搬送された時、重症になりやすいということも言われていますのでご注意下さい。
一方、慢性疾患を持っている人の場合、糖尿病では一般的に尿の量が多くなりがちで、脱水状態となりやすく、また自律神経障害などがあると発汗機能が低下していることが考えられます。これらはいずれも熱中症発症の大きな危険因子となります。また高血圧の人は塩分のとり過ぎが血圧に悪いということで、塩分を控える食生活にされています。そうすると知らず知らずのうちにおこる発汗の増加で塩分がさらに失われて体内のミネラルバランスが崩れ、脱水症状から熱中症発症に至ることを考えておく必要があります。糖尿病や高血圧の方は、生活のさまざまな場面で特に熱中症発症に注意することが必要です。
熱中症の症状として、めまい、失神、筋肉痛、大量の発汗などは軽症で、体を冷やす、水分を十分とらせるなどの応急処置で対応できます。しかし、頭痛、気分不良、吐き気、実際に吐く、などの症状は中等症の症状となり病院への搬送が必要になります。さらに意識障害やけいれん、39℃以上の高熱になると重症で即入院のうえ集中治療が必要な状態と考えて下さい。意識障害というと意識不明の昏睡状態を想像してしまいますが、軽度の意識障害では普段に比べて何かボーとしている状態などを含みますのでこのよな時も重症化の徴候を疑わなければなりません。日本神経救急学会では、考えがまとまらない「判断力の低下」といった状態も重症化の初期段階である可能性があると述べています。高血圧、糖尿病の人にこのような症状が出現したら要注意です。