自分の健康に影響するかも知れないストレスを感じている人は心筋梗塞などの心臓疾患になりやすいというデータが英国から発表されました。
英国の公務員約6000人を対象として、自分の健康状態や社会的経済的状況を調査し、その後、最長で18年間追跡調査が行われたものです。ストレス度の調査は、「あなたは日常感じているストレスがどの程度自分の健康に影響していると思いますか?」という質問に対して、「全く影響なし」「やや影響あり」「影響あり」「強い影響あり」「非常に強い影響あり」の5段階で回答してもらいました。その結果は「全く影響なし」が全体の39%、「やや影響あり、影響あり」が53%、「強くあるいは非常に強い影響あり」が8%の割合でした。
ストレスの影響などをみた他のほとんどの論文が、ストレスと健康を何らかの調査法を用いてストレス度として定量したものをデータにしているのに対して、この論文ではストレスに関する本人の意識に焦点を当てて、ストレスに対する個人的な反応性を検討しているところに特徴があると思います。
結果として、ストレスが自分の健康に「強いあるいは非常に強い影響あり」と回答した人は、「全く影響なし」と回答した人に比べて心筋梗塞の発症が2.12倍多かったそうです。
ストレスが自分の健康に「強いあるいは非常に強い影響あり」と回答した人は、未婚の女性、非白人、喫煙率が高く、野菜の摂取が少なく、あまり運動をしない、糖尿病の人が多く、仕事上社会的な支援が少ない人でストレスを多く受けているという有意な特徴が認められました。これらはそれだけで心筋梗塞など心血管疾患のリスクが高まる状況を多く含んでいると想定されますが、それをストレスと感じると、さらに危険度が増加することになるようです。
普通に現代の社会生活をしている人や、特に仕事をしている人は大なり小なりストレスを感じているものです。しかし健康に対するストレスだけ感じて、自分の生活習慣改善がおろそかになっている人は、心筋梗塞を発症する高い危険状態にあるということが言えるのではないでしょうか。
文献:Nabi H et al. Eur Heart J (2013), 26,
DOI:10.1093/iurheartj/eht316