以前から、糖尿病とガンは共通する危険因子があり、両疾患の関連が注目されていましたが、このほど日本糖尿病学会と日本癌学会が合同でつくる「糖尿病と癌に関する委員会」から糖尿病の人はガンになるリスクが高いことが発表されました。
この委員会は2011年10月から、わが国のデータ解析を続けて来ました。発表によると、解析の対象となった33万5千例のうち、ガン罹患者は約3万3千例で、糖尿病患者さんにおける全てのガン発症の危険性は、糖尿病でない人の1.2倍であり、男性と女性では差はありませんでした。またガンの種類別にみると、肝臓ガンが1.97倍と最も危険性が高く、次いで膵臓ガン1.87倍、大腸ガン1.40倍の順でした。逆に前立腺ガンや乳ガンなどは糖尿病との関連性は認められなかったそうです。
これらのことが起こる原因として第一に、糖尿病で生じるインスリンの異常が考えられます。インスリン様成長因子などが細胞の増殖を進展させる可能性があり、ガン細胞が増殖することにつながることが想定されます。また高血糖が続くと酸化ストレスが強くなり、DNAを傷つけてガン発症につながる可能性などが挙げられています。