医療あれこれ

甲状腺疾患と更年期障害
2012年11月11日

 女性ホルモンの低下によって、生理が止まるころから問題になる女性の更年期障害は、日常生活に支障をきたすようなものも含めて、さまざまな症状が発生します。一方で、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患は女性に多くみられ、しかも更年期に多発します。また具合の悪いことに、更年期症状と甲状腺疾患の症状が類似していることから、両者を鑑別診断することが時に必要となってきます。

 例えば「汗がよくでる」「動悸がする」「不眠」「しびれ」などの更年期症状は甲状腺機能亢進症で見られるものと同じです。また「頭痛」「手足が冷える」「めまい」などの更年期症状は甲状腺機能低下症の症状でもあります。このようなことから、更年期の症状と思っていた女性が、実は甲状腺疾患だったという可能性が無きにしも非らずということになるのです。そこでこれら類似の症状がある時、念のため甲状腺機能の検査をしてみることも必要かも知れません。

 甲状腺機能検査としては、甲状腺ホルモンの遊離サイロキシン(フリーT4)と、下垂体から分泌されて甲状腺ホルモン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモン(TSH)の2項目を取りあえず検査します。甲状腺機能亢進症では、もちろんフリーT4は増加していますが、このフリーT4増加を抑制しようとしてTSHは低下していることが特徴です。甲状腺機能低下症では、逆にフリーT4は低下し、これを正常にしようとしてTSHは増加しています。下の図は以前にもご紹介しましたがこれらの関係を示したものです。T3T4.jpg

 もし異常が発見されたとき、さらに精密な検査を追加して診断を確定します。甲状腺機能亢進症の多くはバセドウ病と呼ばれる疾患であり、甲状腺機能低下症は橋本病と呼ばれる慢性甲状腺炎であることがよく見られます。

 末廣医院では甲状腺疾患を専門として診療していますので、もし気になることがあればご相談下さい。




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