医療あれこれ

90歳以上でも運動すれば認知症になりにくい
2012年10月26日

 これまでにご紹介しているように日本は超高齢社会です。高齢者における病気の発症要因を調べることは重要ですが、多くの高齢者を調査対象とした臨床成績の報告は多くありません。

 この度、アメリカのカリフォルニア大学アーバイン校の研究者らが、90歳以上の超高齢者における運動機能と認知症の関係を調べて報告しました。

physical.jpg この調査研究は、2003年から2009年の期間で90歳以上の地域住民を対象として、神経の異常、運動機能、心理学的テストなどを半年間隔で行いました。対象となったのは90歳以上の847人でしたが、途中で脱落した人などを除いた639人について結果が解析されました。平均年齢は94歳でこのうち女性は72.5%、100歳以上の人が31例含まれていました。

 研究方法は、運動機能として、4 m歩行試験、イスからの立ち上がり動作、10秒間静止立位バランスなどを調べ、認知症の診断は  DSM-Ⅳという公式の診断基準を用いて評価しました。

 その結果、調査された運動機能のすべてが認知症発症と関連することが判りました。このうちでも特に、認知症との関連性が最も強かったのは4 m歩行試験で、運動機能が下がれば下がるほど認知症発症の危険度が高いことが明らかになりました。(右の図)

 この研究報告は、多数の超高齢者を対象として、年月をかけて調査されたものとして、医学的に大変有用なものです。そしてその結果は、歳をとっても、できるだけ体を動かしている方が認知症になりにくいことを示すものであると思われます。




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