アミノ酸はタンパク質の構成成分で20種類あります。この度、血液に含まれるアミノ酸濃度のバランスを調べることによって、生活習慣病のメタボリックシンドロームを早期に発見することができる可能性のあることが、味の素や三井記念病院の研究チームにより発見され、国際肥満学会の医学雑誌に発表されました。
アミノ酸の濃度バランスの変化から病気を診断する方法は、これまでにも「アミノ・インデックス技術」と呼ばれ、これまでにガンの診断ができるのではないかと研究が進められています。この技術を心臓や血管の病気を発症する最大の危険因子であるメタボリックシンドロームの診断に役立てようとするものです。
メタボリックシンドロームの診断には、内臓脂肪の蓄積があることを調べる必要があります。内臓脂肪面積を測定するには、腹部のCTスキャンなどを撮影する必要がありますが、メタボ検診で簡便に内臓脂肪蓄積をみる方法として、日本では健康飲料のテレビCMによく出てくる、お臍の周囲径を測定する基準が設けられています。男性では85 cm、女性では90 cmが内臓脂肪面積100 平方cmに相当することが多くのデータを基に決められ、これより多いと内臓脂肪蓄積ありと診断します。ちなみにこの男性 85 cm、女性 90 cmは不適切ではないかという指摘も多く見直しが検討されていましたが、今年度は公式にこの基準をそのまま使うことが決まっています。しかしこれで正確に内臓脂肪蓄積が診断されているかというと必ずしも完全ではありません。
そこで、血液検査によって内臓脂肪蓄積が証明される方法が確立されれば、より正確なメタボリックシンドロームの診断が可能になることから、この臨床応用を目的として今回の「アミノ・インデックス技術」を使った方法の研究が開始されたのです。多くの人を対象として研究が進められ、血中アミノ酸バランス解析により内臓脂肪面積が特定されることが明らかになりました。
これを実際の臨床に取り入れられるためにはもう少し時間がかかりますが、有用な方法と思われます。とくに明らかな肥満はないけれども実際には内臓脂肪蓄積があり、「かくれメタボリックシンドローム」と言われる人たちの判別に効力を発揮することが期待されています。