今、「生活習慣病」と言われている病気を、以前は「成人病」と呼んでいました。「成人病」は中年以降に発症することが多いので、その名前になったのですが、病気は大人になってから発症するだけではなく、子供にも見られることがあるので「成人病」という名前は適当ではないということになって「生活習慣病」と呼ばれるようになったのです。「生活習慣病」は食事、運動、睡眠、飲酒などの乱れや、喫煙習慣が病気を引き起こしてくることから、「成人病」より「生活習慣病」の方が適切な呼び方だと考えられます。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気、またこれらの病気が引き金となって発症する心筋梗塞や脳卒中、さらにガンなどは典型的な「生活習慣病」です。
それでは同じように乱れた生活習慣をしている人達が皆同じ病気になるのでしょうか。現実にはそうとは限りません。たとえば、タバコを吸い続けている人が皆、肺ガンになるとは限りませんし、運動をしないで油の多い食べ物をお腹いっぱい食べて肥満になっている人達が皆、糖尿病になるとは限りません。同じような乱れた生活習慣をしている人のうち、病気になる人とならない人の違いは何でしょうか。それは体質の違い、つまり病気になる遺伝的な素因があるかどうかによるのです。さらに生活環境の違いも影響してきます。特に糖尿病はこの遺伝的素因が関わって発症することが多いと言われています。つまり親兄弟など血のつながりがある人に糖尿病の人がいると、その人の遺伝子(DNA)を引き継いでもともと糖尿病になる体質があると考えられます。そこへ乱れた生活習慣が加わると糖尿病になってしまうという事です。
ただし糖尿病は遺伝病ではありませんから、病気になる体質があったとしても生活習慣をできるだけ正していれば糖尿病にはならない、あるいは病気になることを遅らせることができます。
いずれにしても規則正しい生活習慣を続けることが大切であることは言うまでもありません。