医療あれこれ
食物繊維摂取は心筋梗塞の経過を改善する
食物繊維を十分に摂取することは心筋梗塞など心臓血管疾患の発症を抑制することは以前よりよく知られています。一方で、心筋梗塞を発症してしまった人が、発症前にはあまり摂っていなかった食物繊維を、発症を契機として十分に摂るようにすると疾患の経過が改善されるのか否かについては十分なデータはありませんでした。このほど、ハーバード大学公衆衛生学の研究チームが、「心筋梗塞発症後、食物繊維摂取量を増加させることにより死亡リスクが低下する」という結果を発表しました。(BMJ,2014,348g,2659)
以前のように心筋梗塞は致死的な疾患というより発症早期の適切な治療により、病気を克服して社会復帰されることが多くなってきました。しかし心筋梗塞を経験した人の死亡リスクは、そういった病気の経験がない人に比べて、やはり高いことが判っていました。そこで今回の研究では、心筋梗塞発症後に、食事で肉、魚よりも食物繊維の摂取量を増やすという生活改善をするとこの死亡リスクはどうなるのか?という点について、約4000人の男女を対象として追跡調査し検討したものです。
その結果、心筋梗塞後に食物繊維摂取量を増加させた群では、そうしなかった群に比べて全死亡リスクが低下することが判りました。食物繊維摂取量が1日あたり10 g 増加するごとに全死亡りすくが15%低下したとのことです。また食物繊維の種類別でみると、野菜、果物よりも穀物由来の食物繊維を増加させることと強い関連が認められたとのことです。日本人の主食である米の他パンや麺類をバランスよく摂ることがよいと思われます。
(引用:Medical Tribune、2014年6月5日)