医療あれこれ
高血糖と不眠が糖尿病患者の疲労感を増悪させる
糖尿病の人は、からだがだるいなど疲労感が強いと訴えられることが多くみられます。疲労感が強いと身体活動性に影響があり、運動量の低下は血糖値に対してよい影響はありません。血糖値が高いほど疲労感が強く、糖尿病コントロールに対して悪循環になることが想定されています。6月9日~13日、アメリカのサンディエゴで開催された米国糖尿病学会において、前夜の高血糖や睡眠の質不良が翌日の疲労感の増悪に関与することがアメリカの研究者から報告されました。
研究の対象となった人は、2型糖尿病症例ですが、肥満指数(BMI)の平均が32.6で、典型的な肥満型アメリカ人でした。7日間の血糖値変動やよく睡眠がとれたかどうかといったアンケートによる睡眠の質と翌日の疲労感の程度を比較検討したものです。その結果、高血糖状態であった時間の長さとともに、就寝前の疲労蓄積の程度が翌日の疲労感蓄積と統計的に有意な相関がみられたというものでした。研究発表者は、就寝前の高血糖や、睡眠の質が悪い時ほど翌日の起床時、疲労が蓄積していると感じる人が多く、さらに詳細に調べると前日の血糖値変動が大きいほど日中の疲労感が強くなると考えられると述べています。
日中の疲労感が強いとき、必然的に運動量は低下してきます。つまり糖尿病コントロールにおいて重要な運動療法としての身体活動性低下がおこり糖尿病の状態は悪化することが懸念されることにつながります。さらに睡眠の質と疲労感蓄積にも関係があることが推察されますので、睡眠前にその日の疲労をできるだけ取り除き、睡眠の環境を整えるといった生活環境の改善を図ることが必要であると考えられます。