医療あれこれ
睡眠障害は脂肪の食べ過ぎにつながる
睡眠時間の不足だけでなく、良い睡眠ができていないと、高血圧や心臓血管の疾患が発生する危険が高まることが以前より知られています。この原因を究明する一手段として健康な人に協力してもらい、徹夜したあとの食事内容を調査した研究結果が公表されています。
(Fang Z et al: Scientific Reports (2015) 3, 5: 8215 /
DOI: 10.1038/srep08215)
21歳から50歳の男女34名で病気がなく、肥満や喫煙習慣などのない実験実施に同意したボランティア34名を、1日目は普通に睡眠を、2日目は徹夜をした翌日の食事内容を調査し、徹夜の有無で変化があるかを調べたものです。その結果、右のグラフでみられるように、徹夜した翌日は炭水化物の摂取が少なく、脂肪の摂取量が多いことが統計的に明らかとなりました。なおこの対照群として、同様の背景がある男女に2日とも普通の睡眠をした翌日の食事内容も調べましたが、徹夜しなければ2日間に差はないことも確かめられています。さらにこれら徹夜後の脂肪摂取増加と炭水化物摂取低下は、右脳の関連部位活性化の変化と関係することも機能性MRIスキャンで確認されました。
この報告は特に仕事で深夜勤務、交代制の夜勤業務をしている人や、生活習慣で夜ふかしをする人にとって積極的に脂肪摂取を控える食事を心がけないと、将来的に心臓血管疾患発症の可能性が高くなることを示唆するものと考えられます。