医療あれこれ
フレイルティとは
フレイルティ(frailty)を単純に辞書で和訳すると「虚弱」という意味になります。医学的には歳を重ねて徐々に日常生活動作に障害が現れてきた状態を指します。アメリカの老年学会ではフレイルティを「75歳以上で日常生活に何らかのサポーつが必要な集団」と定義しています。脳血管疾患や転倒による骨折など急性のアクシデントがないにもかかわらず、75歳を超えると加齢による身体の衰弱が増加してくるということです。
それでは「フレイルティ」と、以前にこの項でもご紹介しました「サルコペニア」(2013年6月10日付医療あれこれ参照)とはどのように違うのでしょうか。サルコペニアはあくまで、年齢とともに筋肉量が減少するため下肢筋力がおとろえ歩行障害がおこることが原因の日常生活の障害です。これに対して、フレイルティは筋肉量の減少が明らかではない場合でも、心臓や肺、さらには脳など全身の臓器機能が徐々に低下してきて発生するものが主な要因で、高齢者に特有の状態ということができます。しかし全身の機能低下というものの中に下肢筋力低下も含まれますから、サルコペニアはフレイルティの一部と考えることができるでしょう。
いずれの場合でも、適切な栄養を摂ることや、適度の運動などが日常生活動作の低下を低減することが想定され、高齢者の一般的な健康増進が予防効果をもつことが期待されます。