医療あれこれ
日本は超高齢社会
現在の日本は高齢者の数が増え、新しく生まれる子の数が減っていることが問題で、「少子高齢化」という言葉が使われています。その結果、今の日本は「高齢化社会なのだ」と思っている方が多いのではないでしょうか。
高齢者がどれだけ多くなってきているのか、ということを統計学で見るとき「高齢化率」という割合を使って検討されます。「高齢化率」とは65歳以上の人が総人口にしめる割合のことで、これが、7%を超えると「高齢化社会」ということになります。しかし老年医学的にはまだ先があって、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」といいます。
右の図をご覧下さい。これは日本における65歳以上の高齢者の割合、つまり「高齢化率」の年次推移を1980年から2010年まで示したもので、総務省の統計資料をグラフにしたものです。ご覧になって明らかなように、1980年時点ですでに7%を超えて「高齢化社会」になっています。これ以前のデータは示していませんが、1970年に7%を超えて「高齢化社会」になっていました。それどころか、1994年で14%を超えて「高齢社会」となり、2007年にはついに21%を超え「超高齢社会」に突入してしまいました。つまり「高齢化社会」は40年以上昔の話で、現在の日本は「超高齢社会」なのです。
今後いったいどうなって行くのでしょうか。ある推計によると、少子化の影響で総人口は減り、高齢化率はさらに上昇し続けると言われています。38年後の2050年には35.7%とされています。日本人の3人に1人が65歳以上の高齢者となり、まさに「超超高齢社会」になってしまうそうです。
また先ごろ発表された厚生労働省の推計では、現在の認知症高齢者は300万人を突破したということです。これは2002年の149万人から10年間で倍増したことになります。これに対して、2013年度から実施予定の政府の認知症施策では、看護師や作業療法士でつくる専門家チームが認知症と思われる高齢者宅を訪問し、早期の医療支援に当たる、としています。認知症の診断を実施する医療センター数の目標値を盛り込み、市町村の介護計画や医療計画に反映させる考えのようです。
ともあれ、私たち医療者の仕事は、在宅医療という生活の場で命と生活を支える医療が根付き、地域で専門職が協同して、最期の時間を支えていくことです。命を大切にする文化を根付かせ、成熟した市民社会を築いていくことが最大の使命だと考えています。