医療あれこれ
スマホやテレビの見過ぎは子供に悪影響
アメリカで、スマホ画面やテレビの見過ぎは子供の認知能力低下に影響するという研究成果が公表されました。
子供の脳の発達、とくに認知能力の発達にとって、1日の行動パターンは重要です。子供と青少年のための指針では、1日あたり少なくとも1時間の身体活動が必要で、テレビ、携帯電話、タブレット、コンピューターの画面を見る時間は2時間以下であることが推奨されています。また子供の睡眠時間は9~11時間必要とされています。これがアメリカの子供たちにとって実際はどうなのかを調べるため、8~11歳、4520人の子供を対象に、約1年間にわたって、身体活動、スマホやテレビなどのスクリーンをみる娯楽時間、および睡眠時間と一般的な認知能力の関連が調べられました。
その結果、1日のうちの身体活動、スクリーン娯楽、睡眠のいずれもが推奨時間を満たしている子供は4520人のうちわずか5%にすぎなかったそうです。そしてその不適切な時間配分は認知能力の低下と有意に関連していたといいます。これらのことから24時間のうち推奨された時間配分を満たすことは認知能力の発達に重要で、なかでも娯楽スクリーンを楽しむ時間を制限することが極めて重要であると著者らは述べています。
またこれまでの研究では、運動時間と認知能力の関係が注目されていましたが、今回の結果ではこの関係は確認できなかったそうです。最近の報告でも、テレビやスマホ依存で子供の糖尿病リスクが増加する、スマホがわかものの肥満原因になる、などがあります。多くの調査で、スマホは子供の集中力を損ない、学校での授業の妨げになっていることが指摘されています。またフランスなどでは3歳未満の子供にはテレビを見せないよう勧められているそうです。日本でも抜本的な対策が望まれるところです。
引用文献: Walsh JJ. et al Lancet Child &
Adolescent Health 2018.9.26. https://doi.org/10.1016/S2352-4642(18)30278-5