医療あれこれ
スマホは人付き合いを悪くする?
先日この項で、スマホは若者を不幸にするかもしれないという話題を公開しました。(2月22日付若者を不幸せにするスマホ)同じような話題ですが、今回はスマートフォン(スマホ)を取り出していると、外出時での人との楽しい時間をすごせないかもしれないという論文が発表されていることをご紹介します。
論文はカナダの研究者から公開されたもので、友人や家族との食事時にスマホを手元に置いておくと、会話が楽しめなくなり、食事もおいしくなくなる可能性があるというものです。
(Dwyer R.J. et al. J. Experimental Social Psychology. 2017. 6 Nov. on
line)
研究方法は、300人以上の地域の人に参加してもらい、知人と食事の時テーブルの上にスマホ、携帯電話などを置いたまま食事をした群と、スマホなどをしまって食事した群の2群に分けて、その時の食事や雰囲気がどうだったのかを調査したのです。するとスマホをしまった群に対して、スマホを置いたままにした群では「気が散った」などの理由で会食が楽しめなかったとの回答でした。さらに携帯電話に1日5回、1週間の間メールを送り、その時の心理状態がどうだったかの感想を求めました。その結果、他の人と対面で話をしているときなどにメールが着信すると、人との交流が楽しめないことが判りました。
著者らは、この論文の結論は、これまでにすでに想定されている携帯電話、スマホの影響を検討したもので特に新しい知識ではなく、人々が日々感じていることを裏付けるものである、と述べています。情報の入手や通信手段としての携帯電話やスマホなどは、現代生活に必要不可欠なものとなっています。しかし人との直接的な交流は大切であることはいうまでもなく、これらの通信機器が適切な形で使用されることが望ましいでしょう。飲食店によっては「スマホ、携帯電話の使用はご遠慮ください」と表示されているところがありますが、これは周囲の人に対し当然の配慮であると同時に、来店しているグループの人たち同士の関係に対する心遣いでもあると思います。