医療あれこれ
くしゃみをがまんしたら危険?
春先になると花粉症の季節がやって来てしまいます。鼻がムズムズ、目がショボショボという症状を思っただけで、ゆううつになる人もいるでしょう。そもそもこの症状は飛んでくる花粉に対して、人の鼻や目が過剰に反応したものと考えることができます。つまり人の免疫というものは、体に害があるものを排除する反応ですから、花粉という異物を排除しようとする機構が働きます。 花粉が有害か無害かはわかりませんが、ともかく普通なら人の体にくっついているものではありませんから、花粉が鼻に入り込んでくると鼻水で流しだそうとする、目に飛び込んでくると涙で流しだそうとする反応なのです。ところが花粉がすっかり流しだされてしまっても、まださらに反応は持続して、つまり免疫が働きすぎて鼻はムズムズ、目はショボショボとなるわけです。
花粉症の鼻の症状として、鼻づまり、くしゃみがありますが、このくしゃみについて最近気になる論文が公表されました。それは、くしゃみを我慢したら喉に穴が開いたという34歳イギリス人男性の症例です。彼は、他人の面前でくしゃみをするのは大変失礼だし非衛生的だというので、鼻をつまんで口を閉じてくしゃみをしたというのです。その瞬間、首筋に衝撃を感じ、数時間後に喉と首が痛み始めて腫れ、声が変わってきました。このことから病院を受診し、診察した医師によると、喉の部分に小さな穴が開いていることがわかったそうです。幸いにもその裂け目は小さかったことから、手術といった処置は必要なしと診断されたのですが、約2週間の入院を余儀なくされたということでした。
くしゃみは鼻水と同じように、鼻の穴に入りかけた異物を排出するための体の防御反応ですが、水によって流しだすのとは異なり、空気で異物を吹き出すため、大量の空気が一気に噴き出します。その圧力は大変なもので速度でいうと時速160キロに達するそうです。鼻をつまんで口をふさぎこれをこらえようとすると、空気の圧力で喉が裂けることが起こっても不思議ではないといいます。担当の医師によれば、鼻の問題や、場合によっては中耳・内耳の損傷、鼓膜の破裂が起こることもあるそうです。
この男性は医師から、「くしゃみをするときには鼻は絶対につままないようにしなさい」といわれたそうです。エチケットの問題と絡んで皆さんはどう思われますか?
引用:国際医学短信2018.1.17 https://www.m3.com/clinical/news/580295