医療あれこれ

ピンクリボンフェスティバル開催

 ピンクリボンフェスティバルは、乳ガンの予防・早期発見・早期治療をめざした運動で、毎年101日から開催されています。最近、芸能関係者などで乳ガンに罹患した人のことなどが報道され、関心を持つ人が増えていますが、日本における乳ガン発生率は年々増加傾向にあります。これは乳ガン発生の危険因子として女性ホルモン(エストロゲン)分泌量や出産などが原因と考えられていますが、初潮年齢は若年化する傾向にあり、一方で未産の女性や高齢出産が増加し、いずれも乳ガンの危険因子となっているからです。

 乳ガンは乳房のうち乳管と小葉からなる乳腺に発生する悪性腫瘍です。ガン細胞が乳管内に留まっている場合は周囲への浸潤はなく、この状態で早期発見されると治療成績も良好でほとんどが完全治癒させることができます。一方、乳管周囲の血液やリンパまで拡がってしまうと遠隔転移の可能性がでてくるので完全治癒にもっていくことが困難になってきます。そこで早期発見のためには定期的に乳ガン検診を受けることが大切になってきますが、市町村では40歳以上の女性を対象に2年に1回、乳ガン検診を受けることができます。さらに家族歴つまり血縁関係にある人が乳ガンに罹患したことがある場合は、検診受診を早めたり1年毎に受診することが推奨されます。乳ガン発生の危険因子としては、その他にアルコール摂取量が多い女性や、脂肪摂取量が多く太り気味の人は要注意です。

 乳ガン検診の方法として、一般的に2つの方法が用いられています。1つは乳房専用のX線写真であるマンモグラフィーを撮影すること、もう1つは超音波エコー検査です。それぞれ特徴があり、若年者などで脂肪分が多い乳房を持つ人はマンモグラフィーでは腫瘤と周囲の脂肪組織との見分けが難しい場合があります。また超音波エコー検査では腫瘤を発見することには威力を発揮しますが、サイズが小さい場合やはり発見しにくいことが指摘されています。そこでマンモグラフィーと超音波エコー検査の両方を受けることが勧められます。ただ最終的にガン細胞を同定するためには細い針を用いて細胞を採取して顕微鏡で調べる穿刺吸引術が必要ですし、場合によっては少し太い針で組織を採取して調べる細胞診が必要になってきます。

 治療として、乳房を温存する摘出手術と、乳房全体を摘出する全摘術がありますが、腫瘤のサイズや数、および部位によってどちらが可能か選択する必要があります。さらに必要に応じて抗ガン剤を手術前および手術後投与したり、ホルモン剤を何年かにわたって服用する治療法が一般的となっています。もし乳房全摘術を実施したとしても、最近では乳房を再建するためインプラントが使用されることが多くなっています。中には進行が早く経過が良好とは言えないものも含まれますが、これは約10%程度の発生率であり、まれなケースと言えるでしょう。

 早期発見、早期治療を施すと8090%は治癒するとされていますので、定期的な乳ガン検診の受診、さらにセルフチェックとして鏡でみて乳房の変形、左右差がないかとか、数本の指で乳房にしこりがないかどうかを少なくとも生理が終わるごとに調べてみることが推奨されています。