医療あれこれ

ブルーライトの体への影響

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 ブルーライト(青色光)は自然の太陽光の一部で、日没後は少なくなります。もともと人の体は朝起きて、夜暗くなると眠るという体内時計により調節されています。この体内時計による生活リズムをサーカディアン・リズム(概日リズム)といいますが、日没後ブルーライトを多く浴びるとこのリズムに影響がでるといわれています。夜眠くなるのはメラトニンという脳の松果体(右図)から分泌されるホルモンによるものなのですが、ブルーライトはこのメラトニン分泌を抑制する作用があるのです。つまり夜遅くまでブルーライトを浴びていると、メラトニンの分泌が少なく、眠くならないことから体内時計が狂ってくることになります。良い睡眠ができない状態が続くと、糖尿病、脂質異常症などを発症する傾向となり、心臓血管系に悪影響を及ぼすことになることは以前から指摘されていることですが、最近、夜勤の多い人は乳ガンの発生頻度が高いなどという報告もみられます。もちろんブルーライトの眼への影響はいくつも考えられ、疲れ目の原因となり、網膜への影響、角膜の障害など多くのことが知られています。

 それではブルーライトは太陽光以外にどのようなものから発せられているのでしょうか。最近、体への有害事象として懸念されているのは、スマホやパソコンなどの画面からでる光です。長時間スマホ、パソコンを見ているとしばらく眼がぼやけるなどの症状を経験された人もあるでしょう。これをさけるために仕事などでパソコン作業を連続しておこなっている人には1時間の作業ごとに15分間休憩することが推奨されています。さらに最近普及してきたLEDライトもブルーライトを多く含みます。LED開発で日本の科学者がノーベル賞を受賞したとき随分話題になりましたが、白色LED光を作り出すときに、青色LEDが必要ですからLEDにはブルーライトが多く含まれていることになります。

 ではブルーライトを浴びすぎないようにするにはどうするのかということですが、まず昼間の太陽光は自然の光ですから大きな影響はありません。問題は夜間です。できるだけ間接照明にしたり、スマホ、パソコン画面にはブルーライトをカットするフィルムを用いることやブルーライトを軽減する眼鏡を使用するなどの方法があります。なによりスマホ、パソコンを特に夜間に長時間にわたって連続して使用しないことが大切ですね。