医療あれこれ

マスクでウイルス感染を予防できるか?

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 最近街で、マスクを着用している人を多く見かけます。これからの季節、花粉症の予防にマスクを、と思っている人は多いでしょう。普通に市販されている白いマスク(サージカルマスク)は、直径が約3マイクロメートル(3μm:3mmの千分の一)以上のサイズをもつ物質は通さないとしてあるものが多いですので、直径が約30μmのスギ花粉はマスクの目を通らないので花粉症の予防は可能であると考えられます。一方、普通のカゼやインフルエンザなどのウイルスはそのサイズが直径約0.1μmですからマスクを通ってしまい、ウイルス感染症の予防にはならない計算になります。また最近問題となっているPM2.5などの有害粉塵はどうかというと、PM2.5は直径が2.5μmという意味ですから普通のマスクで吸入を予防できるのかというと微妙なところです。

 ともかく粒子のサイズだけ考えると花粉症対策にマスクはよいが、ウイルスの気道感染には予防効果はないということになってしまいます。しかし実際はウイルスという生き物は、低温、低湿度という環境を好みますから、マスク着用により鼻や口を保温し湿度を上げておくことによりそれなりの予防効果があるとも言えるとされています。時々、マスクで口だけを覆い、鼻を出したままの人がいますが、これは全く意味がないことは言うまでもありません。またマスクをするならマスクをしっかりと上下に広げて、鼻の左右に隙間を作らないように、鼻と口をしっかり覆うように装着することが重要です。

 話は変わりますが、白いマスクをした人、とくに女性はその魅力も隠されてしまうというデータが北海道大学から公表されています。顔を隠すことで見た目に影響があるばかりでなく、「病気」や「不健康」という印象を与えて魅力を低下させてしまうというのです。別のアンケートでは、「だてマスク」をするという20歳代の女性が45%もいるといいます。「化粧をしなくてもよい」とか、「目元が強調できる」などという人もいるそうです。しかしマスクはその必要性から適切に着用しないと、好感度を下げ、白いマスクの病的イメージが魅力をさらに下げるということを考えて欲しいものです。