医療あれこれ

「ゲームてんかん」が増えている

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 10月に開催された第49回日本てんかん学会学術集会で、ゲーム・インターネットをする時間が増えているため、ゲーム・ネット依存症/中毒症状のある患者が増えており、このことによる「ゲームてんかん」と診断できる例が多いことが報告されました。

 これは千葉県の久場川こども発達クリニック院長の久場川哲二氏の報告によるものです。18歳以下の同クリニック受診者のうち、ゲーム・ネット依存/中毒と診断された229人の脳波を解析してわかったものです。このうち脳波異常が見られたのは128人(56%)で高頻度にいわゆる「ゲームてんかん」が認められました。つまりネットゲームなどによる光刺激が原因で脳の神経細胞が異常に興奮し、けいれん発作や体がビクビクするなどの症状が出現します。この脳神経細胞の異常は脳波の異常所見として検出されるものです。一般人口でのてんかん出現率は0.8%程度とされていますが、今回の脳波異常発生率56%は極端に高率です。

 これらの患者さんにゲーム、ネットの使用を中止、あるいは使用時間を短縮してもらい、再度脳波検査をおこなったところ改善が認められたのは50%にのぼりました。ゲームの開始年齢は幼児期から小学校低学年に多く、小さい頃からゲーム使用の抑制、学校での教育が必要であり、早期の対応がかかせないと報告者は述べています。

 スマートフォンの目覚しい普及は、最近では歩きながらスマートフォンを使用することが衝突事故などの原因となり、なにより他の人に迷惑であることがマスコミで取り上げられています。さらに子供の場合、上述のような「てんかん」という病気の原因にもなることを考えると、適正な使用を教育していくことが絶対必要ではないでしょうか。

引用:Medical Tribune 学会レポート 2015.11.20