医療あれこれ
周波数40ヘルツの刺激で認知症改善
脳波は人が生きている間活動し続ける脳から発せられる電気刺激が頭の表面から検知されるものです。人の脳波はさまざまな場面で出現する周波数によって5種類ありますが、そのうち周波数が31~120Hz(ヘルツ)の脳波はγ波(ガンマ波)と呼ばれ、ものごとに集中している時や瞑想などの精神活動で認められるものです。このうち40Hzの周波数はアルツハイマー病を改善するのではないかという研究結果が公表されています。
この研究がおこなわれているのはアメリカのマサチューセッツ工科大学の研究者らで、実験的にアルツハイマー病の状態を作り出したネズミ(マウス)に40Hzの刺激をすると、脳に蓄積したアルツハイマーの指標であるアミロイドβというタンパクが減少したという研究結果が2016年に公表されていました。
(Nature. 2016 Dec 7;540(7632):230-235.)
実験マウスに40Hzの光を当てると脳に蓄積したアミロイドβが45%~53%減少したというのです。さらに40Hzの光が点滅し続ける箱のなかにマウスを1時間いれておくと明らかな変化がみられ、実験的に作り出されたアルツハイマー病の病態が改善したと述べています。
今年になってさらに光の刺激だけでなく40Hzの音を併せて聞かせると、マウスの脳からアミロイドβが有意に減少したという結果も公表されています。
(Cell. 2019 Apr 4;177(2):256-271.e22.)
40Hzの音とは実際にはどんなものかというと、現在インターネットにおいて「40Hz」で検索するとこの音を聴くことができるサイトがありますので一度試しにお聴きになって下さい。低い振動音でブーンと鳴っていますが、この音を聴くだけでアルツハイマー病が良くなるかどうかはさらに検討が必要でしょう。現在すでに40Hzγ波によるアルツハイマー病における予防・治療法の臨床試験が始まっているのだそうです。